(公開日:2020年6月9日、最終更新日:2020年7月27日)
Lemonade Inc./レモネード・インク(LMND)とは?
ソフトバンクグループグループ(SBG)が出資するオンライン保険会社であるレモネード・インク(Lemonade.inc)は、2020年7月3日にアメリカ・ニューヨーク証券取引所米国で新規株式公開(IPO)を果たしました。
ティッカーシンボルは「LMND」です。
そのIPOの規模は、1億ドル(約108億円)で、「世界で最も愛される保険会社」になることが目標だと表明しています。
同社はネットのAI保険サービスという位置づけでもありますし、月額/年額の定額料金が取れるサブスクリプションのビジネスモデルですから、SaaS銘柄との認識で良いかと思います。
(参照→ 会社に投資する株式と、通貨に投資するFX )
レモネード、ソフトバンクグループからの出資
レモネード(LMND)は、2017年12月にはソフトバンクなどから1億2000万ドル(約135億円)の出資を受け、2019年4月11日にソフトバンクが主導する資金調達ラウンドで3億ドル(約335億円)をそれぞれ調達しています。
その2019年当時では、レモネードの企業価値は20億ドル以上とされており、その後の環境変化や同社の成長によって、上場後にいくらの時価総額がつくのか、注目が集まっていました。
IPO前では、レモネード(LMND)株式のソフバンクGの持分は27.3%出資で、少し売出し、IPO後には21.8%となったとのことです。
AI保険、レモネード(LMND)のビジネスモデルや価格など
インシュアテックとは、保険版のフィンテックを意味しています。
レモネード(LMND)は2015年に創業しており、住宅所有者と賃貸人向けの保険を提供しています。
特徴としては、iPhoneなどのスマートフォンから申し込め、低価格な家財保険を提供しており、賃貸物件に住んでいる場合は月額5ドルから、持ち家に住んでいる場合は月額25ドルから、レモネードの家財保険を契約することができます。
提供するのは、家財保険でパソコンやスマートデバイス、テレビなどの家電や、家具、高価な宝飾品や美術品なども追加することができます。
そして、マーケティングや、保険の引受、クレーム処理、実際のファイナンス、規制までを統合した形で運営されており、クレームの補償と支払いを数分または数秒で取得できると同社は主張しています。
この価格は、米保険大手4社の価格と比較して、3分の1程度というからその低価格ぶりには驚きです。
その裏には、AI(人工知能)を駆使した徹底的なコスト削減があります。
まず加入の際には、スマートフォンから、人間っぽいAIのPesonal Insurance AssistantとのチャットでYES/NOなどのやりとりで質問に答えていくことで手続きが行われます。
そして保険の加入者に何かトラブルがあった時にも、チャットボットを通じてやり取りを行うことが可能です。
可能な限りオペレーションを自動化しているため、営業マンが販促やトラブル処理に当たりません。
よって人件費が抑えられ、利益が出やすい仕組みとなっています。加えて、現地確認をドローンを使って行うこともあるそうです。
次世代の保険サービスと言われる所以でしょう。
AI(人工知能)に加えて、ビッグデータ、行動経済学などの最新の情報を活用して、川上から川下まで垂直に統合された方法で運営される保険を提供し、根本から旧来型の保健事業を再構築したと同社も主張していますが、誇張ではなさそうです。
レモネード(LMND)の強みは若年層とブランド力!?
レモネード(LMND)顧客は約70%が35歳以下とのことで、約90%の顧客は他社からの乗り換えではない新規顧客とのことです。
顧客が若年層であるメリットは、競合に契約を奪われない限り、顧客の収入が増えていくことで、物を買い、必要な保障が増えていくと、保険料も増加していくことになります。
今までの保険の仕組みでは、トラブルがなく請求がなかった保険料は全て、保険会社の利益となってきたが、レモネードの保険では、未請求分の保険料はチャリティに寄付され、ユーザーは保険に加入することで、同時にチャリティで社会に貢献できるというインセンティブが働く仕組みとなっています。
レモネードでは、すでに30万人以上の顧客を抱えており、2018年の売上は5700万ドル(約60億円)に達し、16万2000ドル(約1,800万円)以上をチャリティに寄付したと言います。
この仕組からも、この会社の目標である「世界で最も愛される保険会社」になるという姿勢が伝わってきます。
そしてこの「世界で最も愛される保険会社」というポジションを確立した暁には、それがブランド力を成り、レモネードの最大の強みとなるでしょう。
特にインターネットに強く、低価格なサービスを求める若年層を中心にレモネード(LMND)のスタイルは評価され、同社の保険は広がっています。
レモネードは、2018年の売上は5700万ドルに達しており、16万2000ドル以上をチャリティに寄付をしていたと言います。
そして共同創業者兼CEOであるシュレイバー氏によると、同社は2019年には1億ドルの売上高に達する見込みであり、現在までに50万件の保険を販売しているとのことです。
アメリカを中心に営業してきた同社ですが、次のターゲットとしてヨーロッパへの進出も進めているようです。
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レモネード(LMND)ペット保険を開始へ
レモネード(LMND)はIPOを無事に終え、2020年7月15日に猫と犬限定でペット保険を開始しました。
この新サービスは、2016年に住宅所有者と賃貸人向けの保険を始めて以来となります。
LemonadeのCEOであるDaniel Schreiber(ダニエル・シュライバー)氏よると、同社の住宅・賃貸人保険を保有する顧客の約70%はペットの所有者でもあるとのこと。
米国では、ペット所有者の1〜2%はペット保険に加入していることから、潜在的な顧客がすでにレモネードと接点を持っています。
そしてLemonadeのペット保険の価格はユーザーは月額12ドル(約1280円)とのことで、既存の保険契約者が新しいペット保険を住宅・賃貸人保険と一緒に契約すると10%の割引が受けられる。
Lemonadeのペット保険にはオプションでウェルネスパッケージも付属しており、飼い主はペットを健康に保つためのヒントや助けを得られることになります。
そのウェルネスパッケージには、毎年の健康診断、糸状虫検査、便検査、毎年の寄生虫検査、血液検査、最大3つのワクチンなどの日常的な項目に適用できる。またウェルネスパッケージには医療アドバイスチャットも可能といいます。
レモネード(LMND)のIPO(上場)と時価総額
レモネード(LMND)は、時価総額15億4400万ドル(約1600億円)で最大で3億800万ドルを調達する予定でした。
そして実際のIPOでは、1100万株を目標とする1株当り29ドルで売却しました。
この金額は以前の1株当り23ドル~26ドルの間で売り出される予想を上回る金額です。それだけ需要に自信があったことが見受けられます。
取引初日の初値では50.06ドルを付け、一時は70ドルを超える場面もあり、初日終値は69.41ドルとなりました。これは売り出し価格29ドルに対して2倍以上となります。
時価総額では、IPO公開価格の29ドルでは16億ドル(約1,700億円)。
初日の終値株価である69.41ドルでは、35億ドル規模(約3,700億円)ほどとなっています。(2020年7月8日現在では株価79.83ドル、約44億ドルの時価総額)
見てきたように、今回のレモネード(LMND)、ひいてはソフトバンク・グループのIPOは大成功と言えそうです。
今後ヨーロッパへの展開なども含めて、レモネード(LMND)の動向には注目していきたいところです。
レモネード(LMND)の今後
レモネード(LMND)の今の成長を続けていくことができれば、株価100ドルを越えていく可能性も十分考えられます。
しかしCOVID-19のパンデミックによる、レモネードの業績へのリスクをもたらす可能性があるのも事実で、同社の保険料の約61%は、カリフォルニア、ニューヨーク、テキサスを含む3つの州の顧客からのものです。
COVID-19のパンデミックの影響がこれら3つの州に深刻な悪影響を与える場合、会社に重大な損失をもたらす可能性も考えられます。
(また株価落ち着いたり、決算が出てきましたら更新するかもしれません。)
参考
・wikipedia
・上場目論見書
・ブルームバーグ
・フォーブス
・techcrunch
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