暴落するJリート市場
新型コロナウィルスによる世界的パンデミックによって、本来であれば手堅い投資先とされてきたJリート市場に、激震が巻き起こっている。
日本を代表する不動産を保有する森ヒルズや阪急阪神でさえも、株価が半値近くまで下がるなど、暴落銘柄が続出している。
リートとは不動産を小口で購入できる仕組みで、各リートでは年2回の決算(年1回の銘柄もあり)を行い、その収益のほとんどを投資家に分配してくれることから個人投資家にも人気が高い。
そんなリートだが、各企業が扱う所有不動産によりオフィス系、商業施設系、ホテル系、住居系、物流系、それら複合型など、分類や特色がそれぞれ違ってくる。
(合わせて読みたい→「まずはこれだけっ!J-REIT(リート)の基本」)
ホテル・宿泊施設系リートは厳しい時間が続く
コロナ前では堅調に成長してきたホテル特化型のジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)や星野リゾート(3287)などは、世界的な鎖国状態により50%を超える株価下落に見舞われている。
これらホテル・宿泊施設系では、たとえ新型コロナが落ち着いたとしても、治療薬やワクチンなどの開発に時間がかかることが予想される中、外国人旅行者が戻ってくるには相当の時間がかかり、なかなか厳しい状況が続きそう。
→星野リゾート・リート投資法人 (3287):銘柄分析
→森トラスト・ホテルリート投資法人 (3478):銘柄分析
事務所主体型の森ヒルズや、商業施設など総合型の阪急阪神
続いてオフィス系を見てみよう。先ほど名前が上がった森ヒルズ(3234)や阪急阪神(8977)なども50%までは行かないが、それに近いレベルで価格が下落している。
事務所系や商業施設系では、所有不動産に入居しているテナントなどの退去や、家賃の減額に対応するなどの必要性に見舞われて、家賃収益金の下落、それにともない投資家への分配金の減額などが予想されているからだ。
そんな森ヒルズでは、現在まで19期連続増配を続けてきたが、今回のパンデミックによってついに増配が止まってしまうのか、次回の7月決算に注目したい。
そしてこれから注目したいリートのセクターでは、住居系の銘柄。それはコロナ騒動によりテレワークの導入などが各社に広がっていることに起因する。
テレワークの普及で有望は住居系のリート
今回をきっかけにしてテレワークが日常的に進むと、企業がオフィスにかける家賃の費用を減らすことにつながる。逆に住宅でのテレワークが普及することで、より住宅の設備の充実など重要性が高まってくることになり、現在住んでいる住宅から書斎スペースの確保のためにアップグレードしたり、別にワンルームマンションを借りて書斎スペースとして利用したり需要は増してくることが予想される。
シェアオフィスという選択肢も近年人気が出ていたが、こういったパンデミックが起きてしまった今、人気に水に刺された格好だ。やはり不特定多数の人が出入りするシェアオフィスでは不安が残る。
そこでいくつか紹介したいリート銘柄としては、まずコンフォリア・レジデンシャル投資法人(3278)がある。
東急不動産をスポンサーとする住居特化型J-REITで、家賃価格上昇が続く東京圏に9割以上を占めている。
物流系の有望リート
そして紹介したいのは、拡大を続けるネット通販。そしてさらに今回の騒動で外出規制が続くことでさらに追い風を受けることになりそう。日用品などを外に買いに行くのではなく、ネットで注文し届けてもらう。そうした流れが進むことにより、ネット通販の核となる物流系の不動産を所有しているリート銘柄も注目したい。
紹介したいのは、CREロジスティクスファンド投資法人(3487)。スポンサーが物流事業をおこなっているシーアールイー社。ポートフォリオは首都圏で90%を上回り、7物件では全て開発や管理を行っている。
まとめ
以上みてきたようにJリート市場においても新型コロナの影響を受けにくい銘柄と、影響をもろにうけてしまう銘柄に分かれる。小口不動産として手堅い分配金を享受できるリート市場にも試練のときが訪れている。この暴落時を逆にチャンスにして資産形成を盤石にしていきたい。
【合わせて読みたい】
→ホテル・宿泊施設系リート逆張りのポイント
◯ホテルリートまとめ
・星野リゾート・リート投資法人
・森トラスト・ホテルリート投資法人
・ジャパン・ホテル・リート投資法人
・大江戸温泉リート投資法人
・インヴィンシブル投資法人
・いちごホテルリート投資法人