J-REIT(Jリート)とは?
個人投資家にとって、投資先を考えた時に選択肢に入ってくるリートと呼ばれる不動産投資信託。
2019年12月末現在で64銘柄が日本の市場に上場しており、これらを日本のリートとして分類してJ-REIT(Jリート)と呼びます。
リートは、普通の個別銘柄である会社とは違います。
例えば普通の不動産を扱う会社では、社長や社員がいて、銀行にお金を借りて不動産に投資します。そしてその不動産を自社で管理したり、他社に管理料を支払ったりして日々営業していきます。
加えて不動産以外にも投資したり、他の事業をしたり、柔軟性ある経営が可能です。
しかしリートであれば、メリットと共にいろんな規制があります。例えば不動産以外には投資ができないというのがあります。(名前からして不動産投資信託なので仕方ないですね^^;)
加えて、利益の90%以上を投資家に分配しなければなりません。
しかし主にこれら制約がありますが、それらルールを守ることで大きなメリットもあります。それは法人税がかからないことです。その利益を分配金に回すことができるので、投資家にとっては有利な仕組みとも言えます。
リートの仕組みとスポンサー
リートには、それを経営するスポンサーという資産運用会社がいます。そして資産や会計の管理を行う資産保管会社、事務委託会社があり、金融機関にお金を借りて不動産を購入します。
不動産を詰め込むただのトラックと考えてみましょう。スポンサーはドライバーで、資産保管会社や事務委託会社はトラックの整備士です。金融機関はガソリンスタンドのような役割です。
投資家に多くの分配金をするという目的に向かって、ドライバーがトラックを運転します。そして整備士にメンテナンスをしてもらいつつ、ガソリンスタンドで給油しつつ不動産という積荷を増やしたり減らしたりしながら、投資家に多くの分配金をするために走り続けます。
リートとは、不動産投資信託という名前の通り不動産を扱う仕組みですが、似たような仕組みのものに、上場している株式を扱うものとしてはETFというものもあります。
リートとETFの基本な違いとしては、不動産を扱うか、上場している株式を扱うかになります。
J-REIT銘柄の選び方と指標の読み方
分配金と配当の違いとは?
みんな大好き分配金です。株式では配当と呼びますが、リートでは分配金と呼びます。
株式会社の場合は、経営陣が売上から経費を引いて、利益を会社に残したりして、その後配当に出すという順番となり、経営陣のさじ加減でいくらでも増減してしまいます。
比べてリート会社の場合は、90%以上を分配しなければならないというルールがありますので、“分けて配るお金”として「分配金」と呼ばれています。(意味合いは近いので、ニュアンスの違いとも考えても差し支えないレベルです。)
NAV倍率とは?
リートのNAV倍率とは、各銘柄の割安・割高を判断するための指標です。
NAVとは「Net Asset Value」の略称で、純資産価値という意味です。
リートのNAV倍率は、株式で言うところの「PBR」と同じ位置づけの指標と考えられます。
そのJ-REIT銘柄が保有している物件の純資産を軸として、その銘柄の株価が高いか安いかを判断する事が可能です。
各リートの銘柄のNAV倍率では、だいたい1倍前後で推移するので、1倍を割り込んできたら割安、1倍以上から割高という判断が可能です。
NOI利回りとは?
NOIとは、「Net Operating Income」の略称で、不動産投資における「営業純収益」のことです。
NOI利回りとは株式投資で言うところの「表面利回り」と同じ位置づけです。
J-REIT銘柄を選ぶ際、各リート比較サイトには、NOI利回りが表示されているものが多くあります。
この指標は、特に各リートのスポンサーが重要視するものとなります。
RevPERとは?
RevPARとは「Revenue per available room」の略称で、「販売可能な客室1室あたりの1日あたりの収益」を意味します。一般的にはホテル業界などで使用される指標ですが、リートを分析する際にも役立ちます。
例えば100室あるホテルで、1室1万円で3ヶ月の稼働率が100%だったとすると、RevPERは1万円となります。なのでこのホテルの部屋は1日で1万円を稼ぎ、100室あるので1日100万円、1ヶ月300万円稼ぐホテルだと言うことがわかります。
続いて、100室あるホテルで、1室1万円で3ヶ月の稼働率が50%だったとすると、RevPERは5,000円となります。1室5,000円で3ヶ月の稼働率が100%であっても、RevPERは同じく5,000円となります。このホテルのは1ヶ月で150万円を稼ぐホテルだという事がわかります。
ということで、高級路線のホテルや、稼働率が高いホテルのRevPERが高くなる指標ということです。
ホテルの価格帯によってRevPERの水準が変わるため、リートごとのRevPERを比較するのではなく、同じホテルでの前年比数値で比較とより参考になるでしょう。
LTV(Loan to Value)とLTVコントロール
LTV(Loan to Value)とは日本で「総資産有利子負債比率」と言われ、持っている不動産という資産に比べて、借金比率を表す重要な指標となります。一概には言えませんが40%では「安心」、50%では「注意レベル」、60%では「警戒レベル」というイメージです。
各リートでよく見かけるのは、通常時のLTV目標は40%以下で、物件取得時など特殊な時期では60%以下を目標LTVとする。といったところでしょうか。
ですので、40%前後で推移されているJ-REIT銘柄では、しっかりLTVコントロールされている優良銘柄だという事がわかります。
含み損比率とは?
含み損比率というのは、不動産を購入した際の「取得金額」と、現在の「時価評価金額」との差のことです。
例えば含み損率10%というのは、過去に1億円の不動産を買ったとして、もしそれを今、売却をしようとすると9,000万円で売れるであろうという評価!という指標になります。
含み損比率が10%レベルだと心配する必要はありませんが、30%や40%へと上昇してくると、警戒することが必要となります。
JCR(日本格付研究所)の格付けと日銀の買い入れ
J-REITで銘柄を選ぶ時には、よくJCR(日本格付研究所)の格付けを参考にします。各リートでも格上げがあった時には決算説明会などで、取り上げられますし、個人投資家でも参考にしたい指標です。
特に金融危機の時など、日銀によるETFやJ-REITの買付が話題に上がりますが、日銀がJ-REITを買い付ける基準としては、まず「AA」以上となっています。「AA」以下では日銀によるJ-REIT買付銘柄の対象外ということになることから、「AA-」と「A+」の間には特に見えない差が大きくあり、「AA-」以上の銘柄では、そのメリットを享受できる可能性があがります。
(参考記事→世界の格付け機関とランキング方法)