(記事執筆:2020年12月23日)
「ARK(アーク)インベスト・マネジメント社」
近年の「投資信託」や「ETF」の主流は、インデックスファンドと呼ばれる、日本では「日経平均株価」や「マザーズ」、アメリカでは「ニューヨーク・ダウ」や「ナスダック」、「S&P500」などの株価指数などの指標に連動を目指したファンドたちです。
ウォーレン・バフェットも2013年には、個人投資家たちに「S&P500に連動する非常に低コストのインデックスファンド」を勧めています。
それはインデックスファンドのほうが手数料などのコストが安く、最終的な利回りが期待できるからです。
【詳しくは→インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドの違いとは?】
そして今、注目を集めるのは、そんなインデックスファンドではなく、今まで手数料ばかり高く、人気が低迷していた、主にアクティブファンドを運営する資産運用会社である「ARK(アーク)インベスト・マネジメント」です。
同社は2013年に創業され、その創業者はキャシー・ウッド氏という女性で、CEO兼CIOを務めています。
キャシー・ウッド氏は過去に世界の行方を決める世界の要人たちが集う「ダボス会議」にも出席しています。
ARK(アーク)インベスト・マネジメントの使命は、「破壊的イノベーションを分析調査し投資機会を提供する運用会社であること」とされています。
同社が言う「破壊的イノベーション」 とは、今までの産業構造や生活スタイル を根底から一変させる技術革新。
そんなアークの主な投資領域は下記の5つとなります。
・ゲノム解析
・ロボティックス
・ブロックチェーン
・エネルギー貯蔵
・人工知能(AI)
これらは今、同時に進化している5つの主要なイノベーションプラットフォームであり、アークのターゲットとしている事業領域です。
ARK(アーク)インベスト・マネジメントは、これら領域の四半期などの短期ではなく5年~10年など長期的な視野に立ち、各事業領域のポテンシャルなどを測り集中的にリサーチし、同社の各ETFなどに反映させていっています。
アーク社の5つのETF【ARKK・ARKQ・ARKW・ARKG・ARKF】
○【ARKK】ARK Innovation ETF
まずアークの代表的なETFである【ARKK】。
【ARKK】の正式名称「ARK Innovation ETF」の主要銘柄は、電気自動車のテスラや、モバイル決済のスクエア、ネットTVスティックのロク、遺伝子検診を提供などするインビティなどが、【ARKK】のETFに5%〜10%ほどずつ組み入れられています。(記事執筆時点)
(公式→【ARKK】の銘柄組入比率)
経費率は0.75%で、毎日のように同社のトレーダーが売買するアクティブファンドとなっており、インデックスファンドと比べてもコスト高くなっています。
しかし現在、テクノロジーなどの進化スピードも高く、同社のETFのパフォーマンスも高いことから、経費率というコストが気にならない状況とも言えそうです。
○【ARKQ】ARK Autonomous Technology & Robotics ETF
続いて【ARKQ】です。
【ARKQ】の正式名称は「ARK Autonomous Technology & Robotics ETF」で、自動運転やロボティクスに特化したETFとなっています。
【ARKQ】の主要な組入銘柄は、電気自動車のテスラ、3Dプリントサービスのマテリアライズ、日本のカメラメーカーニコンと、農業、建築などの地理空間などに関するサービスを行うトリンブルとの50%ずつ出資の「Nikon Trimble」、3Dプリンタなどでの短期生産を可能とするサービスのプロト・ラブズなどです。
(公式→【ARKQ】の銘柄組入比率)
○【ARKW】ARK Next Generation Internet ETF
3つ目は【ARKW】です。
【ARKW】の正式名称は「ARK Next Generation Internet ETF」で、次世代のインターネットサービスに特化しており、AIやクラウドコンピューティング、ブロックチェーンなどに特化されたETFです。
【ARKW】の主な組入銘柄は、電気自動車のテスラ、ネットTVスティックのロク、オンライン診療のテラドック、ビットコインの投資信託であるグレースケールなどでです。
(公式→【ARKW】の銘柄組入比率)
○【ARKG】ARK Genomic Revolution Multi-Sector ETF
4つ目は【ARKG】です。
【ARKG】の正式名称は「ARK Genomic Revolution Multi-Sector ETF」で、ゲノム解析やバイオ銘柄をテーマとしたETFとなっています。
経費率は同じく0.75%で、主な組入銘柄は、遺伝子検診を提供などするインビティ、ゲノム編集のクリスパーセラピューティクス、分析治療室設備メーカーのパシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア、合成生物学会社のツイスト・バイオサイエンスなどです。
(公式→【ARKG】の銘柄組入比率)
○【ARKF】ARK Fintech Innovation ETF
アクティブファンドの最後の5つ目は、【ARKF】です。
【ARKF】の正式名称はARK Fintech Innovation ETFで、フィンテックやブロックチェーン、決済プラットフォームへの投資に特化したETFです。
経費率は0.75%で、主な組入銘柄は、モバイル決済のスクエア、南米のアマゾンと言われるメリカドリブレ、オンライン不動産データベースのジロー、写真SNSのピンタレストなどです。
(公式→【ARKF】の銘柄組入比率)
ARK/アークでは、5つのアクティブファンドが有名ですが、実はインデックス・ファンドのETFも2つ運用しています。
ARK/アークの2つのインデックスETF、イスラエル【IZRL】、3Dプリンタ【PRNT】
1つはイスラエル企業に特化した【IZRL】、2つ目は3Dプリントに特化した【PRNT】です。
【IZRL】…イスラエルは軍事やセキュリティーに強い企業が多く、世界的に重要な技術や会社が数多く排出しています。このETFでは、ゲノム、ヘルスケア、バイオ系企業に特化されています。同ETFの経費率は0.49%。
(公式→【IZRL】の銘柄組入比率)
【PRNT】…アメリカや台湾などの国内外の上場3Dプリント企業をまとめた、「Total 3D-Printing Index」という指数に連動するよう設計されています。
3Dプリンタは宇宙ビジネスや軍事を始め、モノづくりにおいて価格破壊を可能とするポテンシャルの高い事業領域となっています。同ETFの経費率は0.66%です。
(公式→【PRNT】の株価変動の推移)
両ETFともにニッチな領域ですが、ARK/アークが目をつけていることから、我々も注目していきたいですね。
「ARK」社のETFの購入方法・買い方について
ARK/アークのETFは、アメリカ株の一般的な投資方法である「マネックス証券」「SBI証券」「楽天証券」などの証券会社では、現在のところ購入することができません。
それは、ARK/アーク社によって日本の金融庁に届出を出していないため、各証券会社は顧客からの要望あっても取り扱えないというのが現状となっています。
それでもアーク社のETFを売買したい方は、欧州系の「サクソバンク証券」、FXがメインの「IG証券」などでは取扱っているので、検討してみても良いかもしれません。
しかし特定口座が利用できないなどのデメリットもあるようなので、利用される方は色々と確認されたほうが良さそうです。
ARK/アークに出資の「日興アセットマネジメントの投資信託」
日本からはETFではありませんが、投資信託を購入することができます。
それは、日興アセットマネジメントがARK社に出資をしているからです。
そしてARK/アークからアドバイスを受け、商品開発を行っています。
以下にて投資信託の商品名と、の購入可能な一部の証券会社となります。
・【ARKKに相当】グローバル・プロスペクティブ・ファンド(みずほ証券など)
・【ARKFに相当】グローバル・フィンテック・株式ファンド(SBI証券など)
・【ARKWに相当】デジタル・トランスフォメーション・株式ファンド(SMBC日興証券など)
・【ARKQに相当】グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド(愛知銀行など)
・【ARKGに相当】グローバル全生物ゲノム株式ファンド(大和証券など)
そのうちアメリカ株投資で一般的な日本の「マネックス証券」「SBI証券」「楽天証券」などでも買えるようになるのを待ちながら、私としては、ARK/アーク社のETFに入っている銘柄などを調査して記事にして、気に入ったものは個別銘柄で購入していこうかなと思っております。
ARK/アーク社の無料レポート・ツイッター・ポッドキャスト・レポート・
ARK/アーク社は、情報について非常にオープンで、すべてのリサーチ結果がオンラインで公開されています。
レポートに加え、毎週発行のニュースレターTwitterなどのソーシャルメディアや、podcastでも聴けます。
彼らは自分たちの情報やアイデアを発信して、リアルにフィードバックを得ることが狙いです。
最終的にはリサーチがより深くなり正解にたどり着くための助けとなることを目指しているとのことです。
・ARKレポート(日本語まとめページ)
・Twitter
・ポッドキャスト
・日々の取引情報メール(登録が必要)
以上、ARK/アーク社のまとめ記事でした。
参考
・日興アセットマネジメント
【合わせて読みたい】
・「インデックス・ファンドの父」バンガード・グループ
・ステート・ストリート(STT)の「SPDR(スパイダー)ETF」
・世界最大級の資産運用会社、ブラックロック(BLK)のETF「iシェアーズ」