世界最大企業、サウジアラムコのIPO(上場)検討と、原油をめぐる争いについて

世界最大企業、サウジアラムコのIPO(上場)検討と、原油をめぐる争いについて

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近頃ニュースではことあるごとに原油価格の動向を耳にします。それも原油価格の暴落についてです。原油価格は2008年7月には史上最高値の147ドルを付けていましたが、2016年1月では30ドルを切るほどにまで下落している緊急事態なのです。

そこにサウジアラビアの国営企業であるサウジアラムコがIPOするという、ニュースが飛び込んできました。アラムコの上場と原油価格には、どんな繋がりがあるのでしょうか?

サウジアラムコとは?世界最大企業と言われる企業

まずサウジアラムコとは、サウジアラビアの100%保有の国営企業であり、その企業価値は数百兆円と言われています。近年の世界最大企業であるアップルの時価総額の一番高かった時でも約80兆円だったことを考えると、その数倍にも上る数百兆円というのは、驚くばかりの水準です。

世界でも有数の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアの顔とも言えるサウジアラムコ。同社は世界の原油市場の10%強を誇り、その確認埋蔵量では上場石油企業で最大のエクソン・モービルの10倍に登ると言われます。

そんな現在、上場している企業の中では世界最大の石油企業エクソン・モービルでさえ時価総額は現在約40兆円と、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイに次ぐ、世界で5番目に入る規模です。そのエクソン・モービルの10倍の量の原油埋蔵量を誇るということですから、サウジアラムコの潜在価値は計り知れません。

それもそのはずでサウジアラビアの国営企業ということで、その実態はベールに包まれていました。

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サウジアラムコの歴史について

サウジアラムコの歴史を簡単にまとめると、アメリカの石油会社だったカソックが、サウジアラビアの当時のイブン・サウド国王と石油の利権において合意書に調印したことから始まります。

そしてカソックは1936年、米国のテキサコ(現:シェブロン)と50%ずつ株式を保有する合弁会社になり、1938年3月、ダーランで石油を掘り当てる(ダンマン油田)。1944年1月31日、カソックは社名をアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー(通称アラムコ)に変更。

1948年、赤線協定を廃止する合意が成立したため、2社がアラムコの株主に加わり、カソックとテキサコは、50%ずつ保有していたアラムコの株式の比率を30%に下げ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ/後のエクソン、現 エクソンモービル)が30%、ソコニー・ヴァキューム・オイル・カンパニー後のモービル。現:エクソンモービル)が10%保有することになった。これらの株主は、「アラムコ4社」と呼ばれるようになる。

1973年10月、第四次中東戦争。12月、政府の25%経営参加に合意する「リヤド協定」が成立。
1980年には、政府の100%事業参加(実質的な完全国有化)を実現した。
1983年、アリ・ヌアイミがアラムコ最高経営責任者(CEO)に就任。

という歴史を経て、アラムコはサウジアラビアの完全国有化企業となった。そして1988年11月8日、サウジアラビア政府は旧アラムコの操業権利・資産などを引き継ぎ、国営石油会社「サウジアラビアン・オイル・カンパニー」(サウジアラムコ)の設立となる。

(参考:wikipedia)

そして最近の原油価格の急落を受け、サウジアラビアの状況が一変したことが今回のIPO(上場)に向けた動きとなったわけです。

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何がサウジアラムコをIPO(上場)に向かわせているのか?

サウジアラビアの原油生産コストは6ドルほどと言われています。そして現在の原油価格は30ドルですから、十分利益が出ている健全な企業と言えます。しかしオーナーであるサウジアラビアの国家運営のコストを計算に入れると106ドルの原油価格でないと、赤字に陥ってしまうと言うのです。

サウジアラビアは近年の原油価格高騰にあぐらを掻いており、国民の人気を取るために多くの公務員を抱えたり、福利厚生などを厚くしたり、徐々に国家運営コストが肥大化してしまっていたのです。

それでも原油価格が100ドルを超えていればやっていけましたが、147ドルから30ドルに暴落してしまったのですから、主産業を原油に頼っていたサウジアラビアにとっては死活問題となるわけです。

現在はサウジアラムコが稼いだ資金で作られた政府系ファンド(SWF)の資産を食いつぶしての苦しい国家運営となっています。

シェールガス革命により、原油価格急落へ

そもそも何故、原油価格の急落が起こったのでしょうか?

その原因は主に、アメリカでシェールガス革命が起きたことが挙げられます。

アメリカで膨大なシェールガスやオイルが発見されたことをシェールガス革命と呼びます。そして近年アメリカでも開発が進められ、サウジアラビアなどを含む中東に対抗するエネルギーとして、注目が集まっていました。

ちなみにアメリカのシェールオイル業者たちの生産コストは約50~60ドルと言われますから、サウジアラムコの生産コスト約6ドル、その他の中東オイルでも10ドル以下と、価格競争力では中東に軍配があげられるのが事実です。

そんなシェールガスの登場により原油などエネルギーの供給が増えたことで、自然と原油の価格下落圧力が増すことになります。しかしサウジアラビアなどが加盟しているOPEC(石油輸出国機構)では、原油を減産せずに、価格下落を見て見ぬふりをしています。よって原油価格の下落が起こっているのです。

そこにはアメリカのシェールガス業者を潰すという中東勢の思惑があります。価格競争力があることをいい事に、まずはライバルであるアメリカの業者たちが、潰れるまで手を緩めない姿勢を見せています。

価格下落がサウジなど自らも苦しめることになっており、チキンレースのような状況とも言えます。

そんなチキンレースでの最大の利益享受者は我々消費者で、魚の値段、トイレットペーパーやその他あらゆるものの値段が抑えられそうです。

これからもマーケットや世界を揺るがす原油価格や、サウジアラビアなどの中東からは目が離せません。

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