商業施設中心、低地、物流の資産クラスに投資
ケネディクス商業リート投資法人 (3453)はケネディクス株式会社をスポンサーとするJ-REITです。ケネディクス株式会社は他にも、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(3278)、ケネディクス・オフィス投資法人(8972)という兄弟リートも上場させています。
今回紹介するケネディクス商業リートでは、食品スーパーや専門店などの商業施設、低地、物流等を投資対象しています。
新型コロナウィルスの影響でリート市場が苦しむ中、同投資法人も同じく株価が下がっています。
しかし生活密着型の商業施設を中心に投資する同投資法人では、テナントが受けるダメージが少ないことも予想され、加えて2018年6月にはE-コマースが生活の一部へと浸透する中、それを支える心臓部と言える中規模クラスの物流施設にも投資し、重要性を増す物流で底上げを狙います。
他にも、土地のみを取得して、低地契約(事業用定期借地権設定契約)にも力を入れています。低地契約では建物はテナントが建築して所有するため、退去リスクが低く安定的な借地料を徴収することができます。
投資対象地域・エリアポートフォリオ
ケネディクス商業リートの投資対象地域は、四大都市圏(首都圏・大阪圏・名古屋圏・福岡圏)を中心としています。それらの指しているエリアは下記となっています。
◯四大都市圏
・首都圏46.8(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
・大阪圏20.1(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県)
・名古屋圏10.3(愛知県・岐阜県・三重県)
・福岡圏3.5(福岡県)
・その他19.3%(政令指定都市・中核都市)
ケネディクスの業績予想、分配金(配当)
ケネディクス商業リートの分配金(配当)は、順調に伸びていることが分かります。巡航分配金6,500円の目標を1年前倒しで達成し、3~5年後には7,000円の分配金を目指すとしています。今後のコロナの影響がどう分配金に影響してくるかに注目です。
ケネディクスのリスク度合い(格付けと日銀・LTV・含み損比率)
続いてケネディクスのリスクを測るために、格付け、LTV(Loan to Value)と含み損比率を見てみましょう。
まずはJCRの格付けを見てみると、ケネディクス商業リート投資法人は、2019年12月24日付けで「A+」をキープしています。
(参考記事→世界の格付け機関のランキング方法)
ケネディクス商業リートの格付けが「A+」ということで、日銀(日本銀行)によるJ-REITの買付け対象銘柄にはなっていません。
日銀のETFやJ-REITの買付ルールなどついて詳しく知りたい方はこちらへ
(参考記事→日銀、J-REITの買付ルールと買付銘柄について)
LTV(Loan to Value)の推移とLTVコントロール
ケネディクス商業リートのLTVは原則として60%を上限としています。現在は45%ほどとなっています。J-REIT平均値と同じ水準です。
LTV(Loan to Value)ですが、日本では「総資産有利子負債比率」と言われ、J-REITの借金比率を表す重要な指標となります。
含み損比率(鑑定評価額の推移)
ケネディクス商業リートの含み損比率ですが、約8.5%の含み益が出ていることが分かります。徐々に評価額が上がっています。
含み損益比率8.5%というのは、例えば過去に1億円の不動産を買ったとして、もしそれを今、売却をしようとすると1億0,8500万円で売れるという査定評価になる、という指標です。
今後のコロナの影響がどう含み損比率に出てくるか注目です。
ケネディクス商業リートまとめ
以上、ケネディクス商業リートの中身を見てきました。
J-REIT銘柄の中、本来ならコロナの影響を受けない投資対象としている同投資法人ですが、かなり株価は下がっています。
他の各リート銘柄とともに、今回の大暴落をチャンスと見るかは面白いところです。
◯合わせて読みたい
・福岡リート投資法人 (8968):銘柄分析